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【Book】フリーエージェント社会の到来—「雇われない生き方」は何を変えるか / ダニエル・ピンク


「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」や「モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか」など、常に話題の書籍を出しているダニエルピンクの本で2001年に出版されたものですが、今読んでも全く古くなく、それ以上にとても納得できる内容でした。

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もともとIT業界で仕事をしていたので、フリーで働いている人も多かったし、組織に属すほうが窮屈というのは働いていると実感できるんですが、やっぱり今までの考え方に束縛されていて、自分がフリーエージェントになるという行動はなかなか出来なかったんですよね。

ただ、ここ数年間は自分自身が企業に勤めることに対して、心が不協和音をならし、「何かおかしい」と訴えていて、まあ学校にいきながら「将来をどうしようかな」と考えていたところにこの本に出会えたのはよかったです。「会社に勤めないほうが自分らしい生き方ができそうだ!」ということに確信を持てたから。

既に自然と実践していることもあったけど、一番グッときたのは11章の「自分サイズのライフスタイル」の内容。p235ページのポイントより抜粋すると、

工業経済の時代が訪れて、それまで一体だった仕事と家庭が切り離された。フリーエージェント経済はそれを再び統合しようとしている。フリーエージェントたちは、仕事と家庭のバランスを取ろうとする ー仕事と家庭を二者択一ととらえる発想と言ってもいいー のではなく、仕事と家庭をブレンドしている。企業の「家庭に優しい」制度や法律で定められた家族休暇の制度がうまく機能していないのは、ひとつにはこのためだ。こうした制度は人々に仕事と家庭をブレンドするのではなく、バランスを取ることを強いるものであり、「自分サイズの服」を求める人たちに「共通サイズの服」を着せるものといえるからだ。こうした状況で、フリーエージェントたちは、政府や企業に頼るのをやめて、もっと人間の性質と進化の過程沿っていると思われる働き方を選びはじめた。

政府や企業が押し進めている「ワークライフバランス」にずーっと違和感を感じていたのですが、うまく行かないのはそういうことか!とこの本を読んでやっと納得することができました。要は産業革命以前は、家庭内で個人で働いているフリーの人が多かったわけですが、それが産業革命によってお金のかかる大規模な機械を使って生産性をあげていったわけです。そうなると個人がそういう設備を用意して働くことができないので、設備があるところに働きにいくようになった、それが今の働き方のスタイルのベースになっている。勤め人が会社にいって9時ー5時で働いて、土日は休みという規則正しい、また仕事とプライベートがはっきり分かれている生活スタイルになっているわけです。

しかし、現代は会社に勤めていても仕事とプライベートの境界線が曖昧になってきて、その分は別に会社からは保証されない。働き過ぎがダメ、といいつつ有給を取ろうとすると、休む前後でいつも以上に働かなくてはならない、、と矛盾が多い。それは、産業革命型の働き方(個性を考慮しない画一的な働き方)に対して、無理にワークライフバランスを当てはめようとしているから。バランスを取るのであれば、フリーエージェント的な働き方で、自分の時間は自分でコントロールできる働き方がベースではないと、ワークライフバランスなんて実現しないという冷静に考えればその通りですよね。

最後のほうに未来像として、こんなことも書いてありました。p379より抜粋。

フリーエージェントの時代には、ビジネスやキャリアのあり方、コミュニティの築き方も変わってくる。経済の生態系には巨大企業とミニ企業が主に生息し、中間サイズの企業は廃れていく。マイクロペイメントやぶつぶつ交換の拡大により、個人やミニ企業間の取引は今より容易になる。いままでのような管理職は姿を消し、特定のプロジェクトのために適材適所の人材を集めることができるプロジェクトマネージャーが生き残る。フリーエージェントの台頭により人と人とのふれあいがなくなるという指摘は杞憂に終わる。むしろ、地域社会やコミュニティーは活気を取り戻すだろう。フリーエージェントの未来は、男性ではなく、女性が中心になって築いていく。21世紀は女性の世紀になるのかもしれない。

10年前に書かれたものですが、今まさしくこのような時代になりつつあるような気がしますね。コミュニケーションはtwitter, facebookなどのソーシャルメディアを利用すれば緩いネットワークに常時接続できるし、以前よりいろんな人との出会いも増えているような気がする。女性が中心というのは、男性が好む封建的な社会から、柔軟性を余儀なくされる社会構造に変化したことで女性が働きやすくなっているということなんでしょうね。

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