TOC理論でブームを起こした、エリヤフ・ゴールドラット氏の最新作ということで、かなり期待を込めて読んだ。かなりファンだったのでほかのシリーズは購入して本棚にあるが、大概こういう本は出版を重ねるごとに期待を裏切っていくものなので、今回は図書館で借りて読むことにしました。
読んだ感想は一言でいうと「ハウツー本」から「哲学本」に進化していたという感じかな。いままでは企業の利益のためにどのように考えて、実行して、効率的にすればよいか、ということを明快に解説していたが、今回はちょっとおもむきが違う。「個人の人生の大切さ」を解いており、最後に「意義のある人生を送ってほしい」という言葉で締めくくられているのが印象的でした。父と娘との対話形式で、自分も娘の立場になりながら「うーん」と考えられるところが今までのシリーズの中で一番好きですね。
もともとTOC理論を解説した「ザ・ゴール」のころから、ゴールドラット博士は「ものごとが複雑にみえているのは、我々の認識の問題であって、そもそも本質はシンプルなのだ。」といっている。それに今回「人はもともと善良である」という人の要素をいれて話しをすすめている。ほんとかなと、、思いつつ読み進めていくと、心にひかかった文章があり、紹介します。
充実した有意義な人生を送る可能性を高めたいと望むのであれば、ものごとを明瞭に思考する方法を身につけなくてはならない。そしてそのためには、すぐに人を責める癖はなくさなければいけない。はっきりとした根拠もなく、人に非を求めてはいけないのだ。その障害が、知らないうちに自分たちにどれだけしみ込んでいて、そしてどれだけ破滅的な結果をもたらしかねないのかが、今回はっきりと分かった。(P232より引用)
また最終的に、父と娘の対話で娘は
- 人は善良である
- 対立はすべて取り除くことができる
- どんなに複雑にみえる状況も、実はきわめてシンプルである
- どんな状況でも著しく改善することができる。限界なんてない。
- どんな人でも充実した人生を達成することができる。
- 常にウィンーウィンのソリューションがある。
という風にうまい具合にまとめてくれている。その後、父親がこう締めくくるわけです。
他人に関にを押し付けたり、環境のせいにしてはいけない。あるいは自分のコントロールの及ぶ範囲じゃないとか、自分の能力を超えているなどといってはダメだ。自分自身の人生なんだから、自分ですべて責任を持たなければならない。そうすることで、有意義な人生を送ることができるようになるんだ。だけどそれは決して簡単ではなく、人というものは愚痴をいったり不平不満をいうことが大好きな生き物だ。それをおさらばしなければならないんだ。
仕事と人生の折り合いのつけかた、あきらめないで「有意義な人生を送ろう」というメッセージをこの本で伝えたかったんだなあとつくづく思ったのでした。今の自分が目指すべきところだったので、ストレートにこのメッセージに心を打たれ、なんだか勇気までもらっちゃいました。将来に悩んでいる人とか、職場関係で悩んでいる人にお勧め本かもしれませんね。
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