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【読書】「マイクロソフトで出会えなかった天職」を読んで


NPOとかボランティアに興味がある人や「なんのために働いているんだろう」という人向けの本。このVoxとかAmazonでも評価は高く、図書館で借りようとしたら出版されて2年も経つ本なのに、予約待ちでやっと読むことができました。

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった
マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった
ジョン ウッド

著者のジョン・ウッドさんはMSが全盛期でかなりよい待遇で働いていた頃、発展途上国(最初はネパール)の旅行先で学校いっぱいの生徒や本が貴重なため、数冊しかない図書館なのに鍵がかかっていることに衝撃を覚える。以前にもカンボジアの青年が働きながらそのお金を勉強するために投資している姿をみており、自分が小さいころどれだけ本好きで、たくさん夢中で読み、現在そのおかげで待遇のよい仕事にもついている。(本人の努力もありますが。)
最初はネパールの校長に「本をもって戻ってきてください。」という約束に思わず「はい」といったのがきっかけで、働きながら本を集め最初の活動を開始する。そのときの感動や、その行為が子供達にどんなにすてきな未来を与えるか目覚めてしまった著者は、会社の地位を捨ててボランティア活動に人生の進め方を変えるといった感じです。
このあと、やっぱり一筋縄でうまくいくはずはないのですが、彼のビジネスセンスと情熱で困難を次々と乗り越え、多くの国へ図書館や学校を寄贈するという活動を成功させる、一種のプロジェクトX的な流れでお話は進みます。
とにかく、この本はPRの為に書いていると思うんだけど、読みやすくて、読後が清々しいです。彼のすごいところはボランティア活動でも大きな数値目標を掲げて、計画をたてて、実行し、結果を分かりやすく公開するという、ビジネスルールの当たり前を導入したところ。
■日本 Chapters ルーム・トゥ・リードとは
http://www.roomtoread.org/involvement/chapters/japan/index.html

【ジョンが定義する変革の成功要因】

1.最高の長期投資先を探す
2.壮大な目標で勇敢な人達を惹きつける
3.起業家魂のある強力なチームを現地で起用する
4.現地のコミュニティを巻き込む
5.人材に惜しみなく投資する
6.実施プログラムの効果測定をする
7.寄付者へ結果を明示する
8.緊急性を認識する
9. 結果を最重要視する
10.お金を賢く使い、経費をおさえる
11.大きな夢を持つ
12.解決策にスケール感をもたらす
(13.世界水準の能力を持つ人々をリクルートする)

この辺のポイントってNPOもビジネスも一緒のはず。ジョンが指摘するように、慈善だけで寄付を募り、どのようにお金が使われているか分からない、資金を多く出すある一定の人に頼るなんてことは、運営上とてもリスキーだ、と。ビジネスもはっきりいって一緒ですよね。ある特定のクライアントばかり追っていたら、そのクライアントがやめたら会社はアウト。(昔働いていた会社はそうだったのですが。。)

じゃあ、サービス業で個人からお金をいただくビジネスモデルだと、ある一定の安定したお金が見えるけど、長期的な投資や人材の大切さをおろそかにしがちで目先のことばかり話す。結果は大事だけど、ゆでかえるになりがちで「お客の立場にたったサービス」を考えることができなくなりがち。(これは今の会社。)

会社でもNPOでも地方自治体でも何かを「長期的に継続可能な形で運営する。」っていう考え方は何をする際にもすごく重要なんだなと、それに必要なのは「情熱」と「資金」。これらを両立させてこそ、自己満足じゃないボランティアもできるし、受ける側も「自立」するきっかけをもらえるし、みんな心がハッピーでそれが歪まないで継続し続ける。

今の日本の政府の人に聞かせたい内容だなと、、もっと危機感をもって実行できないもんですかねえ。NPOを目指しているひとより、組織運営に関わる方に是非とも読んでいただきたい本だと思いました。

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