先日も紹介した、枝廣淳子さんの最新著書「エネルギー危機からの脱出」を読んで、環境について考えてみる。
この本は2008年5月に発行されており、アルゴアの本を翻訳してから独自でエネルギーに関するデータを集め、あまりピンとこない人にも具体的に分かりやすいようにまとめてある。講義のときもそうでしたが、ゆっくりした口調でしたが、データを説明しながら、ピークオイルの話や代替エネルギーの話、世界の事例や私たちがすべきことがまとめてあります。
この本には掲載されていなかったと思うんだけど、「一新塾」の講義では『トリプルリスクの時代』だとおっしゃっていました。
トリプルリスクとは
・エネルギー
・温暖化
・食糧問題
の3つが相互に関係しており、各国では世界の覇権をになうための「トリプルチャンス」ともとらえていると。
例えば「ピークオイル」については日本ではあまり報道されていないけど、ヨーロッパでは企業が盛んに議論しているとのこと。実は、多くの原油国では2006年時点ではすでに「ピークオイル」を迎えており、どんどん減少しているしているらしい。要はもう今まで通りに質のよい石油は残っておらず、エネルギー回収率が悪いものばかり。となると、代替エネルギーということで、バイオやら天然ガスということもあるが、バイオエネルギーは石油に比べ回収率が悪いので、食糧にしたほうがいいし、天然ガスにもピークがあって2010年ごろといわれており、到底石油のかわりにはなり得ない。
つい最近、ロシアがウクライナ経由の天然ガスを停止した問題が記憶に新しいが、これはヨーロッパがロシアにエネルギーを依存しており、それを外交カードとして使われた分かりやすい例だと思う。
ヨーロッパ各国がエネルギー問題に真剣に取り組んでいるのは、戦略的に他国(特にロシア)のいいなりにならなくてもいいように、またエネルギーは残っていないのは分かっているから、自国でまかなえる方法を国をあげて、ルールをつくって、国民を巻き込んで実施している。
それに比べ日本は、「エネルギー?足りなければ買えばいいんじゃない?」くらいの危機感で、戦略はまったくなく温暖化の表面的なことしか考えられない。ちなみに日本のエネルギー自給率はたった4%。1日23時間は輸入エネルギーに頼っている。すでにピークオイルをすぎている時点で、今後いくらお金をだしてもにエネルギーを買うことができなくなり、2015年以降は世界のエネルギーは割当式になるかもしれないということでした。
じゃあ、話を戻して日本では「京都議定書」で2012年までCo2をマイナス6%減らしますよと宣言していますね。でも2008年の時点で実は8%もCo2は増えているとのこと。もしこの「京都議定書」を守れなかった場合、ほかの国から購入して相殺するわけですが、例えば1トン50ユーロと仮定して、2012年の時点で5%購入するのであれば約2兆円、10%なら約5兆円を日本政府が出費するわけですよ。
今の政府の様子からみても環境問題はあとまわし(そもそも政治家がピンときていない)、国民や企業は「エコ」といいつつも現実の関係性と数値が分からない。単なる「いいことしてるぞ。こだわってるぞ。」という感覚のみ。ヨーロッパのような緊迫感もなし。
ちなみに現状は「人間が出すCO2(72億トン)>地球が吸収できる量(31億トン)」実に地球が1.5個ないとつじつまがあわないところまできている。じゃあ、「温暖化防止のゴールはなに?」ってなると「地球全体で60%(先進国では70〜80%)のCO2を削減する」ということになるそうです。
アメリカの新大統領のオバマ氏もこの問題はきちんと考えていて、2050年までに何をするかビジョンをねっているらしい。まあ、外交にもかなり影響する話なので、この辺の動きはとても注目したいところです。
日本の場合は、政治は当てにならないので、国に頼らない地域レベルでのモデルを地道に進めることと、個人では「何のために生きているのか」問い直してできることから始めるしかないんだなというのか、私たちレベルでの話しになるのかな。個人的にはもう少し考えてみたい問題の1つとしてリストアップしようと思います。
枝廣淳子さんの会社のサイト(環境に関する最新情報をみることができます。)
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