「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」ではまった奥田英朗。今度読んだのは、「ガール」。出てくる主人公達は、30代前半の大手企業に勤めるOLたち。独身もいれば、Dinksもいるし、シングルマザーなどなど、30代くらいになると女性もいろいろ出て参ります。
- 自分より年上の部下をもつ、30代で管理職についた女
- マンションを購入するか否かで揺れる女
- いつまでも「ガール」な女38歳の近くにいる女32歳
- 20代の頃、「30歳だなんておじさん!」と思っていた30代の女
- シングルマザーと営業職を両立する女と同い年の独身女
- ひとまわり年下に恋した女
私は女性の30代後半になっちゃったけど、今考えてみると30代の前半の女性って結構まよっていろんなことが見えてくるゾーンだと思う。特に仕事をしている女性は、日本は未だに男性社会のところもあるし、理不尽なところも見えてくる。お金はあるけどこの先の「幸せな生き方」について模索していく時期のように感じる。
その辺の心理をうまーくついているのがこの本。奥田さんって観察力(取材力かな)がすごいんだな、ってこの本を読んでとっても感心しました。だって働いている女性だったら「そうそう」「あるある」と共感できるところが、随所にでてくるわけですよ。会社人間のおやじたちは絶対気付かない、女性社員の「ホンネ」がここにあるわけです。
この本の主人公達は、それぞれ迷いながら落としどころをつけて、次の人生に進む訳ですが、本当に30代前半の通過点を切り取っただけなので、このあと30代後半、40代という流れのなかでまた別の壁にぶちあたると思う。例えば、今の時代でいえば不況や親の介護など、今までは「自分の幸せ」だったけど、自分ではどうしようもない波に飲まれるはずなので、その辺を追っかけて奥田さんには書いてほしいな。(ガール2とか。)
まあ、話しはそれるけど学校を通いだすと、若者達も周りにいるわけです。一部の子達はやはりハローワークからきた30代以上の女性は「おばさん」だと思っているようで、そういう発言をする人もいました。(某有名歌手もそんなこといってましたよね。)経験浅い若者はまだ分からないだろうけど、こんな本をよんで自分も年をとることに気付いてほしいぞ。
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